全日本を戦いながら、国内二輪ロードレース最大規模のイベントである鈴鹿8耐での勝利奪還のための準備を続けてきているMuSAHi RT HARC-PRO. Honda。ホンダとジョイントし、昨シーズンから新型マシンの開発に着手し、既にテストでの走行距離は数千キロに及ぶとされている。そうしたテストが全日本での好調さに繋がり、JSB1000クラスの開幕戦となった第2戦鈴鹿2&4で高橋巧が3年ぶりの勝利を挙げると、続く第3戦SUGOのレースも勝利。第4戦もてぎ2位、第5戦オートポリスではトップ争いを展開中に残念ながらマシントラブルが発生してリタイヤしてしまったが、全日本前半戦で飛躍的な速さ、強さを見せている。

その勢いを維持したままチームは、7月5日・6日に行われた車両メーカー、タイヤメーカーテストに参加した。このテストにはエースライダー高橋巧はもちろん、グランプリからMotoGPライダージャック・ミラー、このチームから世界へ飛び出していったMoto2ライダー中上貴晶も顔を揃え、初ライドとなるCBR1000RR SP2への乗り込みを行った。

灼熱の中で決勝が行われることから、できるだけ高温下でテストしたいところだが、テスト直前に台風3号が発生し、三重県がその進路に入るという予報が出てしまった。幸いなことに直前の4日には通過したが、初日となる5日はその影響が残り、一日中降ったり止んだりの不安定なコンディションとなってしまった。

ウエットの中での走行となった1回目のセッションは、それでもメインマシン、スペアマシンともに2番手、3番手のタイムを出し、順調な走り出しとなった。路面が乾いた2回目のセッションでは2位以下に3秒1の差を付ける2’8.782のタイムでトップ。ドライからウエットになった3回目のセッションも2’9.089でトップタイムとなった。

翌日は朝から好天に恵まれ、ドライで全セッションを走行。今回のテストでは2台のマシンを並行して走行させているが、1本目では2’8.078でトップとなり、もう一台のマシンも2’8.391で2番手。2本目は2’8.023で2番手となった。

この結果、第1回目のテストは2’8.023のタイムで総合2番手で終了した。

翌週の11日から12日、13日と三日間のテストが行われ、このテストにも前週同様、高橋、ジャック、中上の三人が参加した。三日間のテストはA、B二組に分かれて行われ、MuSASHi RT HARC-PRO. HondaはA組で走行し、今回も2台のマシンを並行して使用した。

初日はドライで走行することができ、1本目が2’8.740で3番手、もう一台が2’8.864で4番手と上位に2台が揃って付けた。2本目は2’7.783でトップ、もう1台も2’8.289で2番手と1-2でこのセッションを終えた。さらにこの日は午後6時40分から7時50分まで夜間走行も行われ、決勝へ向けたシミュレーションが進められていく。

二日目、三日目は雨予報が出ていたが、二日目の午前中はドライで走行することができた。このセッションは2’8.150と2’8.424で3番手、4番手となった。さらに次のセッションでは2’8.817で2番手となった。続くこの日の最後のセッションはゲリラ豪雨に見舞われてしまい、赤旗中断となる事態に。通過後、ウエットコンディションでセッションが行われ、チームはマシンの確認のみ1台のマシンで行い、2’22.882で14番手となった。

三日目はドライコンディションとなったが、朝まで降り続いた雨が強い日差しに照らされて蒸発していくため、湿気の高い中でのテストとなった。最初のセッションは2’8.543と2’9.041で3、4番手。2本目は2’8.974と2’9.674で5番手、6番手となった。そうして三日間最後のセッションでは、2’7.592でトップ。さらにもう一台は2’8.251で3番手と続いた。この結果、三日間走行では2番手、10番手。安定してハイアベレージが刻めた、第2回テストとなった。

本田重樹監督
いよいよ8耐本番も近くなってきました。去年からずっとテストを進めてきて、全日本選手権でも実戦を戦いながら積み上げてきた新型車両を、先週、今週と最終確認する段階となっています。三人のライダーへの合わせ込みもおおむねできました。我々の中では、想定している周回数、ラップタイムはほぼクリアできています。ただ、レースというのは自分たちだけじゃないわけで、強力なライバルたちもさらに上を目指して準備を重ねていますので、もう少し自分たちも足りないモノを詰め、盤石な形でレースウイークを迎えられるようにしたいと思っています。鈴鹿8耐初参戦のジャック、実質8耐初参戦となる中上貴晶が、十二分な実績を持つ高橋巧によって作り上げてきたマシンを上手に乗りこなしてもらい、良い結果に繋げたいと思っています。

高橋 巧
現状のマシンの仕上がりとしては50%だと感じています。通常の8耐決勝だと50度を超えるような路面温度になりますが、今回のテストはそこまで上がらず、そのあたりがどうなのか、安定性という点で少し見えない部分があるのでそのあたりが気になります。2’7.5とか6くらいは出るのですが、もう少し楽に出せるようにならないと決勝での安定したハイアベレージラップに繋げにくいので、そこはチームにリクエストしていきたいと思います。先週、今週のテストを通じて、ジャックもタカもマシンをいじらず、マシンへの順応を進めてくれたので、それはとてもありがたく感じています。

中上貴晶
今週のテスト最終日に8耐決勝日に近い気温となり、路面温度もそこそこ上がったので、良い経験ができたと感じています。マシンに関する課題はまだ残っているので、それはチームにリクエストしました。テストではロングランも行いましたが、タイヤの本数制限があったりして、ニュータイヤはあまり使えませんでした。ユーズドタイヤで20周のロングランをしたりしましたが、もう少しペースは上げたいところです。最後までチーム一丸となって課題に取り組み、最高の結果を出したいと思います。

ジャック・ミラー
2回のテストを通じて、とてもポジティブな手応えを感じています。バイクも良い状態に仕上げってきていますし、チームとこのコミュニケーションも良いものになっています。タイヤの本数制限があり、ニュータイヤは2回のみ使いました。ユーズドは良いフィーリングだったのですが、新品のフィーリングがまだ良く把握できず、パフォーマンスをフルに発揮させる前にグリップダウンさせてしまいました。フロントタイヤのフィーリングが難しく、そこはまだ自分の課題となっています。とは言え、三人のアベレージは高く、2分8秒台も安定して出せたので、そこ点は満足しています。いつも乗っているMotoGPマシンとはブレーキング時の状況がまったく異なり、そこは難しい点ですね。1コーナーのブレーキングなどハードに減速するポイントでは、MotoGPマシンのようにギリギリまで遅らせるよりはMoto3マシンのように早めに減速を開始する必要があります。そこがまだ慣れていないので、リミットまで走ったという状況ではありません。強力なチームですし、スーパーポールというのも経験したことがないので、レースウイークがとても楽しみです。