今年の鈴鹿8耐は、当初予定されていた7月19日決勝から、新型コロナウイルスの感染拡大状況や各地域での防止対策などにより、11月1日決勝に延期された。全日本選手権も同様に延期、あるいは中止とされ、現在のところ8月9日・10日の宮城県・スポーツランドSUGOが今年の開幕戦となる予定だ。

 まだ今年のレースができていないMuSASHi RT HARC-PRO.ではあるが、レースへ向けた準備は怠りない。4月上旬に鈴鹿でテストを行ったあと、走行はできないが、ハルク・プロの工場内ではさまざまなパーツの製作や開発が進められている。

 5月25日には政府から出されていた緊急事態宣言も解除されその後、徐々に各地のサーキットでスポーツ走行が再開。そうした状況を鑑みて、MuSASHi RT HARC-PRO.は6月16日・17日に鈴鹿サーキットで、鈴鹿8耐に向けたプライベートテストを行った。

 今回のテストは名越哲平が担当。ニューマシンCBR1000RR-R  EWC仕様に二日間、合計8時間ライディングした。4月上旬のテスト後、さらにマシン開発が進み、今回はオリジナルのマフラーも装備。長きにわたりCBRを使ってレースを戦ってきているハルク・プロのノウハウが投入され、さらに強力なマシンに仕上げられ、鈴鹿に持ち込まれた。

 梅雨入り後というタイミングだったことからコンディションが懸念されたが、幸いなことに二日間とも天気に恵まれ、夏日の中で走行することができた。

堀尾勇治チーフメカニック

「まだ今年のレース自体が始まっていないので、基本となるJSB仕様が固まっていない状態ですから、開発中のJSB仕様をベースに、タイヤ交換など耐久用のものを装着し、今回のテストに持ち込みました。ライダーは名越ということで、まずは水野がテストで乗ってきているパッケージでスタート。適性を見て、テストを進めていくことにしました。名越も今年は1000に乗っているということで、こちらが想定していた2分7秒台ではすぐ走ることができたので、テスト作業は予定通り進めることができました。初日一回目の走行終了近くで1回転倒はしてしまい、言ってみれば洗礼のようなものでしたがケガもなく、本人もテストを進める上で抑えるべき場所という認識をその後はしっかり持って走行できたので、良かったと思います。今回のメインはテストで、新しいパーツを試さないといけないですし、しかもそれをやりながら自分のスキルを上げていかないといけない。それをしっかりやりながら、最終的には2分6秒台までタイムを上げたので、余計な転倒ではあったけど、それは今後に活かして欲しいですね。今回のテストとしては、持っていったテスト項目をそれなりに消化できましたし、方向性は十分確認取れたので、良いテストだったと思います。この状態で水野が乗ってどうか、というのが次のテストの最初のポイントになりますね。」

名越哲平選手コメント

「今年は全日本ST1000クラスに参戦するということで、ここまでずっとST仕様のマシン開発を担当し、テストしてきました。今回のマシンは全日本JSB1000仕様から鈴鹿8耐仕様へ変更して造られており、フレーム、サスペンション、ブレーキなどに手が加えられています。さらに使用するタイヤも、STはダンロップですが8耐仕様車はブリヂストンということで、テストの最初はマシンへの順応作業から始まりました。ST仕様と比較すると全体的にカチッとした印象で、それは例えれば去年、キット車に乗った状態から、ワークス仕様に乗り換えたときくらい大きく印象が異なるものでした。当然、サーキットをより速く走ろうとすれば、カチッとした車体に強力なエンジンが必要になってくるわけですが、どこまで攻め込めるのかも把握できないので、そのあたりをテスト最初では探り探り、順応していきました。今年はST仕様のマシン開発とセットアップをしており、全力で攻めるというよりもマシンの状態を把握しながらの走行が続いてきたので、8耐仕様のマシンでラップを重ね、スピードが乗せられるようになるととても楽しく、ついつい攻め込みすぎ、初日最初の走行の終了間際に軽く転倒してしまいました。ケガもなかったですし、悪いフィーリングは残らなかったのでそれは良かったですが、ちょっとチームに迷惑をかけてしまったのは申し訳なく思います。基本的に水野選手が中心になって乗るマシンなので、彼がこのあとあのマシンに乗ってどうコメントするのか分かりませんが、チームスタッフは試したいパーツのテストもできたし、ある程度善し悪しの方向性も見えて良いテストになったと言ってくれたので、まずは一安心です。」